(質問)
種雄牛に要する経費として平成21年度でも委託費:7,999万円、補助金:9,455万円、合計1億7,453という貴重な県費を使って、知的財産といえる和牛精液を管理・構築しております。
昭和44年から約40年間に相当な経費・農家等の協力があったこの知的財産ともいえる和牛精液について、県では事件発覚を受け、9月の定例県議会の環境農林水産常任委員会で和牛精液管理体制強化を検討していると報告しております。
そこで、先ずこれまでの精液の管理体制はどのようなものであり、どのように総括されているのか担当部長にお伺いします。
(回答)
農政水産部長
 現在、県有種雄牛は、社団法人宮崎県家畜改良事業団で一括管理を行っており、その精液は、各地域の家畜改良協会を経て、家畜人工授精師に譲渡されております。
 冷凍精液の譲渡を受けた家畜人工授精師はその利用状況を、情報入力システムにより、家畜改良事業団へ報告することになっております。
 しかしながら、現行システムでは冷凍精液ストローを損した場合や実際に自ら使用しなかった場合などは把握できことや使用の都度報告することが担保されていたいことなどから、すべての利用状況が的確に把握されているとは言えない状況にあったと考えております。

(質問)
 9月定例県議会環境農林水産常任委員会で配布された資料を基に意見交換をさせていただきました。
意見としては、これまでの和牛精液を管理しているシステムは曖昧で、時間的タイムラグが大きく在庫管理が不十分。
管理体制強化はこれまで各地域改良協会に加盟している人工受精師のみを対象にしているようだが、今回の事件でもあったように冷凍精液保管用のボンベを持っている農家や人工授精師協会に入っていない非協会員も強化対象にも広げるべきではとか、また事件が発覚した畜産試験場は家畜改良増殖法によると研究機関なので、立ち入り検査等は不要になっているが、県畜産試験場の棚卸:在庫管理は大丈夫なのかといった意見を聞くことができました。
また、特許技術を活用した精液証明書作成による精液の適正流通の確保を図るとあるが、精液ストローと精液証明書に同じナンバーを付けて流通させるべきではといった意見を聞くことができました。
そこで、県当局においても様々な意見交換等を行い検討されたことと思いますが、どのような意見が出され、どのような検討が行われ、今後どのような管理体制の強化が行われるのかお伺いします。
(回答)
農政水産部長
 8月に県と県家畜改良事業団、各地域の家畜改良協会等で構成する「宮崎県家畜人工授精業務改善推進協議会」を設立し検討を進めてまいりました。
 この中で、冷凍精液の不適切な流通を改善するためには、家畜人工授精師自身のモラルと法令遵守意識の向上に加え、立ち入り検査の強化が重要であることや、冷凍精液の利用状況を的確に把握できる仕組みの構築が必要だであるなどの意見が出されたところでです。
 このため、今後、家畜人工授精業務の適正化を図るため、畜産試験場を含めた県有種雄牛精液を所有するすべての家畜人工授精所の立入検査を強化することなどを内容する、新たなルールを定めることとしております。
 また、利用状況をリアルタイムで把握するために、インターネットを活用した需給管理システムを導入することにより、県有種雄牛精液が県内で適正かつ有効に活用されるための体制整備を図ってまいりたいと考えております。